■所在地 群馬県邑楽郡邑楽町大字中野2569・2570・2680-1他
■主体構造 鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄筋コンクリート造
■階数 庁舎(地上3階)・多目的施設(地上4階)・保健福祉センター(地上1階)
■敷地面積 約23,000u
■延床面積 約11,800u
■主要用途 庁舎・多目的施設・保健福祉センター
■設計主旨■
広大な扇型である敷地23,000uに計画された建築は、主に庁舎及び多目的施設からなる。
このような扇型の敷地はたいへん珍しく、とても魅力的だと思った。
建物は、正にこの敷地形状から生み出されたとも言える扇型の形状ををベースにして全体構成した。
またもう一つの特徴である水平方向におけるランドスケープの美しさを最大限活用することにも力を注いだ。
まずシンボルタワーの三角形の頂点が向く南への軸線上に、
邑楽町章でもあるデザイン形状を持ち合わせた多目的ホール棟を配し全体のシンボルとした。
これは意図的に創られた人工池に浮かぶようにあり、その中心から東西に延びる扇型状の庁舎・多目的施設を考えた。
この中には将来建設される保健福祉センターも含まれる。
外観は単純な幾何学形状が連続して生み出す美しさを強調した。
南側は連続した透明ガラスとし、北側は採光とデザイン性を考慮しガラスブロックにより構成する。
また耐年性・景観を考慮し、自然にとけ込み年月が経っても味わいの出るコンクリート打ち放しを基調として、
基本的には耐候性十分なアルミニューム・ガラスと共に構成する。
内部はバリアフリーを常識とした移動しやすい空間とし、環境に対する配慮と維持管理費を考え、
南側開口からの自然光をふんだんにとり入れた。
この建物を特徴づける扇形状部分の屋上には、町の花でもあるヤマツツジを植えて屋上庭園とした。
住民への開放の場だけでなく、職員の憩いの場としても活用される。
また建物を保護する上での断熱材の役割も合わせ持つ。
■建物概要■
@庁舎
内部には、1階ピロティを介した3層吹抜のエントランスホールからアプローチする。
建物形状及びわかりやすい動線を考慮した結果、片廊下移動式を採用した。
断面図で示すとおり基本的には各棟共、南側を執務・居室空間、北側を移動空間として一体の空間をつくる。
そこに階段・吹抜・ホールスペース等を配しながら明確で豊かな空間を目指した。
A多目的施設
庁舎同様、1階ピロティを介して建物内部にアプローチする。
邑楽町章のデザインをモチーフにしたホール棟(建物全体のシンボル)に、扇形状の附属棟が挿入された形を持つ。
ホール棟には、人工池に面する西に開いた大開口と4層の吹抜を持つギャラリー・ラウンジ等と
直径27mの球を使用した多目的ホールが用意される。
附属棟には、多目的ホールのためのロビー・控室・音楽室・会議室等が用意される。
B外構
必要な駐車場・駐輪場を確保し、敷地の余白に広場・人工池を配した。
地域に開かれた庁舎という意味でも、建物の廻りには1階ピロティとつながる広場をつくり、
四季を通じて人々が集まれる場所を提供した。
また人工池を含むこの広場には10m間隔で円柱形の柱を配し、
敷地の余白を含めた建築全体がこの大地に根付く意味を持たせる。