各局タイムテ−ブル

2001年6月23日放送
神奈川県相模原市・倉澤邸
-15年の夢ローコストRCで達成-
2000年12月完成
敷地面積 73平米(22坪)
建築面積 46平米(14坪)
延床面積 139平米(42坪)
RC造3階建て
建築費:2597万円
坪単価:62万円


施主の倉澤さんは、学生時代から憧れていた住宅、安藤忠雄の「住吉の長屋」、東孝光の「塔の家」。この住宅はその2つを足して2で割ったものだそうです。2つの塔を階段室で結んだスキップフロア。

多目的スペースは広さ8畳、天井高4メートル。南北の塔をつなぐ階段室から床が1.2メートルほど低くなっています。床はモルタル。一部に畳が敷かれています。畳の間から、中庭、駐車場の眺めもいいですね。

親世帯の広さはひろさ10畳。居間と、キッチン、トイレが設備してあります。中庭側は透明ガラスを使った採光部。もちろん床暖房付き。

広さ4畳もの洗面所。トイレが長いご主人のためのスペースです。ご主人がトイレに入っているとき、奥さんが洗濯、お子さんがそこで遊ぶなど、なぜか3人がここに要るときがよくあるとか。体重計もオシャレなもの。結構、体重が・・・

子世帯のリビングは、親世帯と同じ10畳。階段室との境をオープンにすることで広がりを図っています。北側の最上階に位置するリビングは天上の一部をトップライトにすることでいい明かりが入ります。安藤忠雄の考えが活かされています。

キッチンカウンターはキャスター付き、移動可能です。奥さんは見渡せるキッチン・・・とだけ希望。ご主人と建築家の中でイメージが固まっていて、口を挟めなかったとか。結果的にはそれがよかったのかもしれませんね。

寝室は8畳。南側の最上階に位置します。家の中で唯一南からの窓が入る部屋。収納は造り付け。竣工間近にのあわただしいときに作ったため、引き戸のサイズが合わず、周りを囲うような形になったそう。でもデザイン的にはいいですね。

屋上は外観のデザインと目隠しをかねてコンクリートの壁で囲ってあります。アルミマニアを自称するご主人、ここにもアルミのテーブルセットが。コンクリート住宅でローコストの限界に挑戦したご主人。坪62万円!大成功ですね。

大島 功市

1967年 茨城県生まれ
1991年 法政大学工学部建築学科卒業
1991年 〜1998年建築設計事務所
1999年 大島功市建築研究所設立
建築の基本である住宅を中心に、その他幅広く活動しています。
建築には、クライアントの夢・設計者の夢・施工者の思いがそれぞれ込められており、その出会いというのは奇跡のようなものです。
奇跡を美しい建築物として残せるよう誠心誠意取り組んでいます。



大島功市建築研究所
〒185-0022東京都国分寺市東元町3-19-9本多ナンバーワン(東京事務所)
〒310-0851茨城県水戸市千波町464-39 A棟103(茨城事務所)
Tel/Fax:042-326-2233
E-mail:ohkokk@yahoo.co.jp

独立して第一作目の建築ということもあり、倉澤邸には特別の想いがあります。
出会って完成するまでの一年半を思い浮かべると、本当に奇跡のようです。
狭い敷地ですが中庭をつくり、上部は空が見えるように吹抜けにしました。
しかもこの吹抜け空間は全ての部屋に風・光・水の自然を与えてくれます。
建物は、シンプルな形状がデザイン性を持ち合わすようにし、一つ一つの素材の良さが
そのまま出るように考えました。
倉澤家と施工業者の協力も得て、最近のマンションや建売住宅のように機能性・合理性だけを求めた住宅にはしたくないという思いで格闘しました。
外部に対しては静かに佇み、内部には人間生活の動きが生ずるような、静と動が共存する建築でありたいと願います。
およそ20坪の敷地に完成したのはコンクリート打ちっ放しの建物でした。当初、お母さんと奥さんはコンクリート打ちっ放しということで冷たい感じがしないか、と心配されたようです。しかし、完成して大満足でしたね。お子さんもとてものびのびしていました。ご主人はディテールにこだわっていますね。私はお宅を拝見して、もしや、と思ったのですが、ご主人も建築家も「安藤忠雄氏の大ファン」ということでした。お会いしたことは無いそうですが、師と仰ぎ、真似をし、これは、成長のプロセスでは模倣は大事なことなんですが、何千回も模倣して、その上で初めてオリジナルを場合によっては超えることもある・・・そんなことを今日はつくづく感じました。ご主人は中学時代から建築の本を読まれていたそうです。私と共通するところです。多目的スペースに置かれたリートフェルトの椅子。ご主人が学生時代に作ったそうです。あの椅子が印象的でした。